※ [蚕食(ざんしょく)] 蚕(かいこ)が桑の葉を食い尽くすありさま。
ganjii は「借金王国日本の惨状」(2008/05/01)において下記の数値とバックデータを示した。
①政府・自治体の財政赤字が886兆円で世界一となった
②GDP(国内総生産)と比べても指数4.0で世界一となった
③この借金の債務者は全国民であり、その額は一世帯につき1,846万円となった
⇒ http://ganjii.iza.ne.jp/blog/entry/560758/
また「民業者と公務員―産税者と食税者の勢力分布」 (2008/05/24)において、日本の総人口1億2,780万人のうち41%を占める《民業者》5,207万人が、3%の《公務員》399万人と56%の《無職者》7,174万人を《扶養》している構図を一枚の図表に収めた。
⇒ http://ganjii.iza.ne.jp/blog/entry/585795/
健全な会計思想に基づいて運営するべき国家財政を、これほど惨めな状態に貶(おとし)めた真犯人=加害者は誰かと言えば、それは食税者=公務員であり、被害者は産税者=民業者である。
⇒ 食税者=公務員=議員および役人=399万人=加害額886兆円
⇒ 産税者=民業者=5,207万人=被害額一世帯につき1,846万円
その加害者が今日まで国家財政の蚕食行為を正当化してきた法的根拠が、財政法4条1項の《但書》である。それゆえ、国家財政を救うにはこの《但書》を潰さねばならない。
以下にその概要を説明する。
日本政府は大東亜戦争の軍事費を賄うため戦時国債を濫発した。日本勧業銀行の「報国債券」、「戦時報国債券」、大蔵省の「大東亜戦争割引国庫債券」など総額約1,400億円。2008年現在価格に換算しておよそ56兆円という巨額なものだった。
1945年、敗戦と同時にこれが激しいインフレを引き起こし、国家財政が破綻した。連合軍総司令部(GHQ)は政府の債務を一切打ち切る荒療治によってインフレを収束させた。
1947年、その反省に基づいてGHQは日本政府を主導し、「財政法」を制定して「国家財政の基本原則」を打ち立てた。そして4条1項に「国の歳出は、公債または借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない」と明記して公債と借金を禁じた。
1952年対日平和条約が発効して日本の主権が回復し、GHQの占領が終わった。
すると、それから13年後の1965年、政府は山一証券の破綻など“戦後最大の不況”を口実として4条1項末尾に「但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる」という《但書》を追加した。その上で特別立法による「歳入補填国債」を発行した。
「借金を禁じる」という「国家財政の基本原則」を政府の公務員(議員と役人)が率先して踏みにじったのである。
翌1966年、政府はさらに「歳入補填国債」を「建設国債」という名称に変更して《国家の借金行為》を正当化した。その言い訳はこうである。「財政法4条1項の規定は国の経常経費に当てる目的で公債を発行することを禁止するものである。建設目的の国債発行は《但書》の範囲であるので問題はない」。
1975年、政府は「歳入不足が一層深刻になったため建設国債だけでは間に合わない」として「特例債」を発行して経常経費までも穴埋めするようになった。その言い訳はこうである。「国会の議決を経ているので問題はない」。
「政府ぐるみで国家財政を蚕食する罪」を一度(ひとたび)犯してしまえば、後は坂道を転がり落ちるだけ。政府はこれ以後、際限もなく借金を繰り返すことになる。その結果たどり着いた地点が冒頭に述べた財政の惨状である。
こうしてみると、政府が借金行為に走る“口実”はいつの時代でも《歳入不足》であることがわかる。
「カネが足りません」と役人がいう。「なんとか工面しろ」と議員がいう。「とりあえず国債で・・・」と役人が“水を向ける”。すると議員が“阿吽の呼吸で”「やむをえんだろう。但し、今回限りだぞ」という。毎年この“茶番劇”の繰り返しである。かくして財政赤字は確実に膨らんできた。
《歳入不足》という用語は政府にとって都合のいい用語であって、その実体は《歳出過剰》である。政府が本来手出しするべきでない領域、手出ししてはならない領域まで囲い込もうとする卑劣な“戦術用語”なのだ。国民はこの事実をしっかり見抜いておかねばならない。
役人は「これが国民のニーズです」といって過大な予算を要求するが、その実は《業者・団体》と《役人》と《族議員》三者のニーズにすぎない。業者は受注を、団体は補助金を、役人は天下り先を、族議員は政治資金と票を当て込む。
《歳入不足》で泣くのはこの三者、《歳出過剰》で笑うのもこの三者である。
業者・団体と役人と族議員。この一握りの勢力が戦後62年間、寄ってたかって「国民のニーズ」を騙り、わが国の財政を牛耳ってきた。そして今日の国家財政の惨状を招いた。
しかも、彼らの行為は違法ではない。合法である。その合法の根拠が財政法4条1項の「但書」にあるのだ。
そこで、本稿は財政法4条1項の「但書」を撤廃することを提案する。
今や国民は昔ほど多くを政府に期待しない。多額の税金を納めたくないし、使って欲しくもない。仮に政府の財政規模を半分に減らしたところで、その分、資金が民間にシフトするだけの話。国民経済規模としては同じことで、なんの支障もない。
財政規模を減らすことは、政府の借金と税金を減らすということである。政府が使う金が減って国民が使う金が増えるということである。自分の金は自分で使う。政府に預けたら三者を太らせるだけ、借金が増えるだけ。そういうカラクリに国民は気付いている。
財政法4条1項は国債、公債、借金を禁止する。つまり、「借金をしてまで余計な事業に手を出すな。政府の任務をわきまえろ」ということだ。政府がやるべきことは何か。政府がやってはならないことは何か。これからの時代、“目覚めた有権者たち”はこのことを肝に据えて政府の財政を糾弾しなければならない。


by その蜩
対トヨタ戦争[The war on Toyo…